発明の新規性喪失の例外規定についてのQ&A集と手引きが改訂されました

改訂の概要は、下記(ⅰ)~(ⅲ)です。

(ⅰ)メールマガジンなどの電子メールの取扱いについて

メールマガジンについては、メールの件名等を記載することで、一般的な電子メールと同様に個々の送信先の記載は不要とする整理を行いました(手引きの3.3.2及び記載例13,14参照)。

(ⅱ)地域を特定した一斉販売の記載について

全国一斉販売、九州限定販売など、「地域を特定した一斉販売」という1つの行為とみなせる公開行為について記載をする場合には、各店舗名の記載は不要であるという整理を行いました。この場合において、特定される地域は、全国といった広範囲の地域に限らず、任意の範囲を指します(手引きの3.3.6及び記載例15、Q&A集のQ4-7参照)。

(ⅲ)新規性を喪失しない商談について

発明が特許法第29条第1項各号のいずれかに該当するに至ったのでなければ、新規性は喪失していないところ、特定少数の者で行われる商談で説明を行った場合には、その説明により発明が公然知られたものとは認められないため、発明の新規性喪失の例外規定の適用を受ける必要はありません(Q&A集のQ3-3-2参照)。


この改定は、実務的にも重要ですが、弁理士試験の一次試験(短答試験)でも、この発明の新規性喪失の例外規定についてのQ&A集に記載の事例を題材とした過去問がいくつかあります。

具体的には、Q&A集の下記の事例

Q3-3-4:ウェブサイトに掲載される学術論文に発明を公開しましたが、論文全文には雑誌の会員しかアクセスできません。そのような場合でも、発明は新規性を喪失したことになるのですか?

Q5-2:国内優先権主張を伴う出願をする場合に、先の出願で第 2 項の規定の適用を申請していたとき、この国内優先権主張を伴う後の出願の発明者が先の出願の発明者より増えていても、先の出願で提出した「証明する書面」を援用することができるのでしょうか?

等についての出題例があります。

今回新たに追加された上記の「(ⅲ)」についても、弁理士試験の短答試験の事例としても使われるかもしれません。

弁理士試験受験生の方は、簡単にでよいので、Q&A集に目を通しておくとよいでしょう。

また、実務に携わる方は、どのような場合に、どのような手続きをすれば新規性喪失の例外規定の適用を受けられるのか、この機会に確認なさるとよいでしょう。


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